スタンフォードの…という本はついつい手に取ってしまうミーハーな私ですが、何冊か読んだなかでこの本は事業主様だけでなく、全ての大人におすすめです。
ストレスを緩和するにはアロマがいいだとか、スポーツをするとか、旅行や自分へのご褒美、はてまた思いっきり泣くなどなど、いろんな方がいろんな方法をおすすめされていますが、この本ではストレスと上手に付き合う方法が学べます。
ストレスは避けられるものなら避けた方がいいと思っていましたが、そうではなくて要は気の持ちよう。読んだら元気と勇気が出て、「もうちょっと頑張ってみようか」と思える本だと思います。
ストレスは本当に体に悪い?
この本は大きく分けて2つのパートに分かれています。1つめのテーマは「ストレスを見直すエクササイズ」、2つめは「ストレスを力に変えるエクササイズ」。
「ストレスを見直すエクササイズ」第1章のタイトルは「すべては思い込み」。
これがこの本の大きな核だと思います。本書ではたくさんの実証が例としてまとめられているのですが、例えばホテルの客室係の女性たち。私もホテルに勤務していたことがあるので分かるのですが、客室係の仕事は重労働です。ペアで行うとはいえ、通常女性ばかり、ベッドメーキングや掃除などを短時間できちんと仕上げなければなりません。汗だくになる仕事です。そんな彼女たちに、客室係の仕事はいい運動になると告げると、告げられなかった人たちより体重と体脂肪が減少し、血圧も下がっていたそうです。
「2つの効果が想定される場合(この場合は、運動によって健康効果が表れるか、作業によって体に負担が生じるか)、その人がどう思っているかによって、どちらの効果が表れるかが決まる」ということです。つまり、思ったとおりになる!ということ。
同様の実験がストレスについても行われました。「ストレスにはよい効果があることが分かっている」と説明されたグループと「ストレスがいかに健康に悪いか」を説明されたグループがストレスフルな面接試験を受けた場合、検出されたホルモン値に違いがあったそうです。「ストレスにはよい効果がある」と聞いたグループは、DHEAという、ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助ける男性ホルモンの分泌量が多かったそうです。
思い込みとマインドセット効果
上記の実験は、模擬面接の直前にストレスに関する刷り込みのビデオを見せるという一種の操作です。1つの強力な現象によって、短期的にある特定の効果のみをもたらします。
が、こんな操作よりも結果に大きく影響することがあるというのです。効果は雪だるま式に増大し、ますます威力を増しながら長期的に影響をもたらす…と。
それが、「マインドセット効果」。いわゆる思い込みです。たんなる好みや事実(例えばチョコレートよりバニラのほうがおいしい、人に年齢を聞くのは失礼など)ではなく、人生観を反映した中心的な信念(例えば世の中はだんだん危険になってきている、お金があれば幸せになれるなど)。このような考え方は、あなたの経験の受け止め方や決断に大きく影響する可能性があります。このような先入観や思い込みを何度も感じているとだんだんそれが強化され、人生に対する向き合い方も感情もあ州されるようになり、健康や幸せ、寿命など長期的な結果に影響してきます。
だからですね「口に出す言葉には気を付けよう」(本当になるから)などと言われますね。そこでこの本では、ストレスに対するマインドセットを変えていこうと提案しています。なぜならマインドセットは、考え方あけでなく行動にも影響を及ぼすからです。
ストレスを感じてもポジティブに考える方法
まずはストレスは体によい影響を与えることもある、ということを知っておく必要があります。
- ストレスを感じたらそれを認識する。受け止めて、体にどんな反応が表れているかに注目。
- ストレス反応が起きたのは、自分にとって大切なものが脅かされているせいだと認識。その脅かされているものが何かを知る。
- ストレスを感じたときに生じる力を、ストレスを管理しようとして無駄にしないで利用する。あなたの目標や価値に合ったことにエネルギーを使うにはどうすればいいか考える。
思い込みを変える!マインドセットの方法
これは単なる思い込みだ…と分かっていてもなかなか変えられないのが、思い込み。では、どうすればいいのでしょうか?
- 新しい考え方を学ぶ。
- 新しい考え方を取り入れ、実践するためのエクササイズを行う。
- 自分で実践したことを、ほかの人たちと分かち合う機会を持つ。
インプットとアウトプットを行う、ということですね。もう少し先で具体的なエクササイズの方法をみていきます。
ストレスの影響を考える!「マインドセット・マインドフルネス」
ストレスについて考え方を変えるには、いまのあなたのストレスについての考え方が、日常生活にどのようなかたちであらわれているかに気付くこと。
ストレスに関する考え方は、実は自分で「選択」しています。ストレスについてのこれまでの考え方に気付く方法は、ストレスを感じたときに自分がどう思い、どんなことを言っているかに注意してみること。
その考え方のせいで、どんな気分になっていますか?周りの人がストレスで愚痴をこぼすとき、あなたはどう感じますか?毎日の生活のなかでストレスに対するどんな考え方があるか注意してみましょう。
ストレスのない人生は死亡リスクを高める?!
タイトルの通り、ストレスは満足や充実感をもたらすものでもあるので、それが欠如すると健康に悪影響が出るそうです。
これは納得です。私がスペインで生活していたある時期、社会的ストレスが少なくてでも結構退屈だった時期があるのですが、なぜか体調を崩してばかりでした。
この本でも書かれていますが、アンケートで「非常に退屈」と答えた中高年の男性たちは、その20年後に心臓発作で死亡するリスクが2倍以上も高くなることが分かったそうです。ストレスを感じる時間が全て有意義とは限らないけれど、ストレスのなかに「意味を見出したい」という願いが湧いてくる場合、ストレスがいいように作用するということです。
価値観を思い出して困難な状況に対処
あなたにとって大切な価値観を3つ考えましょう。
本書には、例がたくさんあります。例えば、度量、情熱、発見、平等、ユーモア、人助け、などなど。そしてそれを紙に書きます。なぜそれが価値観だと思うかも書きます。価値観を思い出すと、困難な状況に対処しやすくなるそうです。
本書の実験では価値観を思い出しやすくするために、参加者は「価値観を忘れずに」と書かれたブレスレットや、価値観を書いた紙が入るキーホルダーを配布され、ストレスを感じたらブレスレットやキーホルダーを見て価値観を思い出すように指示されました。そうすると困難な状況を乗り越えやすくなったそうです。
以上パート1のまとめでした。ここで私が「ストレスって体にいいこともあるらしいよ」と書いてもあまり説得力がないのですが、本書では様々な実証や例で具体的に述べられています。まずは、「ストレスは避けるべき」という思い込みを捨ててみませんか?