広告費を払って雑誌に掲載されるのもいいけれど、「無料で掲載されることもありますよ」というお話の続きです。
「もっともっといい物を作れば、いつかメディアに注目されるはず…」というのは、間違いとは言いませんが、すごい遠回りです。遠回りしても必ずたどり着くならばまだいいですが、そうとは限りませんよね。ざっと作った商品を猛烈アピールで売る、というのは私は好きではありません。でもあなたが私のように、納得がいくまで商品の品質を高めたい、というタイプの方なら、商品の品質にずっと拘るのではなく、さっさとしっかりPRしましょう。
PRにはいろんな方法があります。あなた(あなたの会社)→個人。もちろんこれも大事です。でも、そのためのステージ(あなたのメディア)を育てるには、それなりの時間と努力が必要です。なので、あなたのメディアを使ってファン(顧客)を育てると同時に、もう既に出来上がっている、人が集まっているメディアを利用しましょう。そこでメディア関係者へのPRに必要なのが、プレスリリースです。
それでは、具体的にどう書いたらいいのかを述べていきますね。
編集者、ライターの目に留まるプレスリリースとは
「これ、面白い!」と思われるために、知っておきたいのは日本人はストーリーが好きということ。商品、お店の紹介には、その商品、お店ならではのストーリーを語りたいのです。
新情報のコンテンツライターとしての私の記事にもそういうものが求められました。多くの飲食店やショップなどをリサーチ、取材しましたが、「これは編集者や読者に好まれそうだ!」と思う派手なストーリーなんて滅多になかったです。分かりやすく好まれるストーリーというのは、子供や奥さんが小麦アレルギーだけどパンが大好きで食べたがり、旦那さんが工夫をしてパンを作り、それがアレルギー仲間に広まって商売になった…など。書きやすいのは書きやすいです。
ところが実際に多かったのは、バルセロナ初の〇〇店がオープン。どうして開店したのかというと、「他の街で流行っていると聞いたが、まだこの街にはないので、いけるかなと思って」というパターンが多いのですが、それはそれでOKです。なぜなら、プレスリリースに好まれるテーマは、
- 日本初
このワードは、「新しさ」を強調する最強ワードです。仮に日本初が無理なら、関西初とか、大阪初なども地方紙などには特に有効です。
- ストーリー性
もしあなたの商品の開発やお店のオープンに、「奇跡のりんご」の木村さん のような感動秘話があれば最高です。
- 次に来るブームを先読みした商品、お店
まだないもの。あなたしか持っていないもの。商品まるごとじゃなくてもいいのです。あなたの商品の「この部分のこういう特性が最先端」で十分。
プレスリリースは、これらをしっかり押さえましょう。
そして、魅せる文章にする工夫も大切。
例えば、
〇月〇日、大阪難波に窯焼きピザのお店がオープン!
と書かれたプレスリリースは、響きません。難波に窯焼きピザのお店なんて、今は珍しくないですよね。
そこを、
〇月〇日大阪難波。ピザ職人歴30年のオーナーがイタリアから直輸入した石窯で焼くピザの店オープン
とすれば、どんな石窯だろう、それでどんなピザを焼くんだろう、と興味が湧きます。その疑問に回答するように、本文を書いていけばいいのです。
お店や自社製品について熟知しているあなたなら、簡単に書けると思いませんか? 私も書籍を発売する際にプレスリリースを書いたことがあります。版元の編集者さんがあらかじめ作ってくださったこともありました。プレスリリースは、格好よく書かなくてもいいのです。とにかく上にあげた3つの要素を中心に、分かりやすく書くだけです。
プレスリリースはメディア向けの広告
プレスリリースは、その道のプロに宛てたセールスレター。だからといって、凝った文章やデザインは必要ありません。「分かりやすく書く」と伝えましたが、それってどういうことなのか、みていきましょう。
- ヘッドラインが一番大事
チラシやセールスレターと一緒です。一番最初の文章であるキャッチコピー(ヘッドライン)が大切です。短くしすぎずに、でも簡潔に魅力と伝えるべきことを書きます。重要な部分を太字や大文字、色を変えるのもいいアイデアです。その際気を付けたいのは、強調する部分を間違えないこと。かっこいいフレーズは考えなくていいです。文章のプロに読まれるわけですから、上手に書こうと思わず伝わるように書いてください。
- 長すぎない
編集者、ライター、記者、プロデューサー、みんな忙しいです。ボディと呼ばれるヘッドラインの下から続く本文を、だらだらと長く書いても読まれる確率は低いです。短くまとめましょう。
プレスリリースを読んでもらえるコツ
とても忙しく毎日多くのDM(ダイレクトメール)やチラシ、お知らせが届く編集者に、あなたのプレスリリースを読んでもらうには、コツがあります。比較的忙しくない時期に届くようにする!雑誌の発売日を調べ、発売日前1週間から3日前くらいまでに届くようにしましょう。その期間は記事の入稿も終わり怒涛のような慌ただしさではないはずです。